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2004.01.25

1年を振り返る (2)

 では、ぼくの作品は、この1年間、どんなところに出没したのだろう。
美術館という特別な箱の中。
サンフランシスコのアートセンターでの滞在制作。
リフトに乗って描いたギャラリーの壁面。
視覚障害者と一緒にまちを歩くワークショップをしてそれを作品にしてしまった展覧会。
盲学校の生徒の展覧会にゲスト出品。
ポストカードのよく売れた展覧会。
はっぴを着て、鏡割りをした個展。
教会の窓に描いた展覧会。
雑然とした展示会場で、福祉機器の隣に。
喫茶店に展示した個展。
知らないうちに雑誌の表紙になっていたこともあった。
まもなく、診療所に飾られる予定もある。
まだ、路上には存在したことがない。

 アートと呼ばれて、美術館という特別な箱の中に閉じこめられているのではなく、アートがあふれ出して、まちにこぼれ落ちていく時代なのだろう。
ぼくのその時代の要請に影響を受けているのだろうと思う。
それらの中には、アートという名前だけを借りているものもあるようだ。
しかし、ぼくが描いているものが、絵なのか、イラストなのか、思うがままにテープやシートを切ったり貼ったりしているだけなのか、自分でもよくわかっていない。
 いったいアートとは、どれほどの価値のあるものなのか?
絵は、なんの役に立つのだろう。
「人の気持ちを……」というような答えを求めているのではない。

 絵を特別なものとして見てほしい反面、そんなにたいそうなものでもないという気持ちもある。
ぼくは、額に入れたからよく見えるとか、額にアクリルを入れたら雰囲気が変わったというようなことがピントこない。
どこで触ってもすばらしいものは、すばらしいはずなのに、なんで周りの環境によってそんなに見え方が変わるのだろう。
でも、ぼくも展覧会を重ねるごとにかなり学習したようだ。
こういう雰囲気のところにぼくの絵を飾るとちょっとアートらしくなくなるのかなあとか、こういう厳かなところに置くとりっぱに見えるのかなあということがそれとなくわかるようになってきた。
アートらしくなくてもいいし、りっぱに見えなくてもいいのだが、ゴミにされて捨てられるのは悲しい。

でも、どんな雑然としたところに置いてもそれなりの勢いと存在感があるような絵を描きたいという気持ちがある。


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