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2004.01.25

1年を振り返る (1)

 いま、手元に2つの賞状がある。
1枚は、英文で書かれているサンフランシスコの市長からの表彰状。
もう1枚は、和紙に飾られた兵庫県立美術館長からの感謝状
 さて、どちらがぼくにとって価値あるものなのか。
それはハッキリしている。

昨年の9月、サンフランシスコの Eleonore Austerer Gallery で個展をした
ときに、オープニングレセプションでもらった表彰状は、いまだになぜもらった
のかその理由がわからないからだ。
「あなたは、その道を極め、日米友好に寄与した」というようなことが書いてあ
るらしい。
しかし、ぼくは、市長にも会っていないし、作品を見てもらった覚えもない。
先頃、送り返されてきたサンフランシスコからの荷物の中には、なぜか市長にプ
レゼントしたはずの作品が入っていた。
いったいあのレセプションはなんだったんだろう。
言葉の壁とか、行き違い以上の、なにかアートに対する価値観の違いのようなも
のがあったように思う。

 一方、兵庫県美の感謝状は、
『光のぬくもりを感じて』という作品を寄贈いただきありがとう、というものだ。
新聞や雑誌などでも取り上げてもらった展覧会だし、企画をしてくれた学芸員の
服部さんともかなりのやりとりをさせてもらって、実現した展覧会だったので、
思い入れもひとしおだ。作品の新しい展開にも繋がる有意義な展覧会だった。
従ってこの2つの紙切れは、明らかに重みが違う。

昨年は、かなり展覧会をこなした。
展覧会に出品しただけで、12回。
もちろんそれらの中には、グループ展で2、3点出したのもあれば、学芸員にお
任せのものもあれば、現地制作までしてかなり入れ込んだものもある。
兵庫県美で始まり、ウッドノートで終わった1年だった。

それ以外に、ワークショップや講演が13回ある。
年に25回もなんらかのかたちで、人前で表現の場を持っているといろんな経験をするものだ。
こんなところでやっていいのかなあと思いながら、出品した展覧会。
不安に思いながらも、終わってみたら納得していた展覧会。
おもしろそうな人から頼まれたので、ついその気になって引き受けたもの。
どうしても判断できず、お断りしたもの。
いろんなことがあった。

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1年を振り返る (2)

 では、ぼくの作品は、この1年間、どんなところに出没したのだろう。
美術館という特別な箱の中。
サンフランシスコのアートセンターでの滞在制作。
リフトに乗って描いたギャラリーの壁面。
視覚障害者と一緒にまちを歩くワークショップをしてそれを作品にしてしまった展覧会。
盲学校の生徒の展覧会にゲスト出品。
ポストカードのよく売れた展覧会。
はっぴを着て、鏡割りをした個展。
教会の窓に描いた展覧会。
雑然とした展示会場で、福祉機器の隣に。
喫茶店に展示した個展。
知らないうちに雑誌の表紙になっていたこともあった。
まもなく、診療所に飾られる予定もある。
まだ、路上には存在したことがない。

 アートと呼ばれて、美術館という特別な箱の中に閉じこめられているのではなく、アートがあふれ出して、まちにこぼれ落ちていく時代なのだろう。
ぼくのその時代の要請に影響を受けているのだろうと思う。
それらの中には、アートという名前だけを借りているものもあるようだ。
しかし、ぼくが描いているものが、絵なのか、イラストなのか、思うがままにテープやシートを切ったり貼ったりしているだけなのか、自分でもよくわかっていない。
 いったいアートとは、どれほどの価値のあるものなのか?
絵は、なんの役に立つのだろう。
「人の気持ちを……」というような答えを求めているのではない。

 絵を特別なものとして見てほしい反面、そんなにたいそうなものでもないという気持ちもある。
ぼくは、額に入れたからよく見えるとか、額にアクリルを入れたら雰囲気が変わったというようなことがピントこない。
どこで触ってもすばらしいものは、すばらしいはずなのに、なんで周りの環境によってそんなに見え方が変わるのだろう。
でも、ぼくも展覧会を重ねるごとにかなり学習したようだ。
こういう雰囲気のところにぼくの絵を飾るとちょっとアートらしくなくなるのかなあとか、こういう厳かなところに置くとりっぱに見えるのかなあということがそれとなくわかるようになってきた。
アートらしくなくてもいいし、りっぱに見えなくてもいいのだが、ゴミにされて捨てられるのは悲しい。

でも、どんな雑然としたところに置いてもそれなりの勢いと存在感があるような絵を描きたいという気持ちがある。


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