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2006.08.14

シデロ・イホスを聴きながら

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土曜日12日は、兵庫県美での公開制作でした。
音の作家、原田和男さんの展覧会に、飛び入りスケッチという感じです。

展覧会場から、原田さんの鉄の楽器をエントランスホールに持ちだして、笛と三味線の演奏家も交えてのジョイントコンサートです。
ぼくはその片隅で、90センチ×180センチの作業台と椅子を用意してもらって、
50センチ四方の板パネルに5枚描きました。

今回も、阿部さんがアシスタントをしてくれました。
少し、公開制作のときのアシスタントの役割について書いておきます。
それは、オペ室のナースの役割です。
ぼくは、医者のように偉そうにしているつもりではないけど、
「赤の2mm」とか指示して、使い終わったテープをテーブルの上に置いて、次のテープを受け取ります。
ぼくが、次に何を使うかはなかなか予想困難だと思うので、この役割もかなり集中力を必要とします。
音のイメージをたどりたいので、かなりスピーディーに次から次へと描き進めます。
まだ描き終わらない内に、次の指示をつぶやいていることもあります。

カッティングシート・丸シール・ラインテープ。それにハサミやカッターナイフを置いた
場所がわからなくなって探していたら、それも手渡さなければならないし、すでに貼った
テープの色をぼくが忘れてしまったら、それもそっと伝えなければならない。
ライブのときには、頭の3分の1ぐらいは、音が流れています。
残りの3分の2では、いまたどっているかたちと色と、そしていままで描いてきたイメージ。それらが頭の中でグルグル回っているので、つい全体のイメージ、特に色合いを忘れて前へ前へ進んでいきます。
あっ! どんな色を使ってこの画面を構成していただろうかと混乱することがあるのです。
そんなときにもアシスタントに登場してもらいます。
短い言葉で、画面がどんな風に進んでいるかを説明してもらうのです。
アシスタントの仕事は大変です。こうして文章にしてみて初めて気が付きました。
阿部さん、ごくろうさまです。
家で一人で描いているときより、ぼくは、うんと楽をしています。
もっとアシスタント代を弾まなくてはならないかなぁ。

正式なジョイントコンサートは、午後2時からでしたが、10時半頃から音合わせしながら、
始まるでもなく音が流れ始めました。
ぼくもそれに合わせて、まずは、白のパネルから描き始めました。
川越のときには、開始時間とか、終了時間が大凡決まっていましたが、今回は、
なんとなく始まって、いつのまにか終わってしまうという感じてそのあたりの雰囲気が読みにくいでした。
音は、現代音楽をイメージしてもらったらいいでしょうか。今回は三味線も入ったので、やや和風な雰囲気が強まったかな。
しかし、ぼくはこの三味線になかなかなじめなかった。
津軽三味線でもないし、沖縄の三線でもなく、やっぱり義太夫の三味線でした。
ぼくも日本人なのにね。何でなじめないんだろう。

まあそれはいいとして、黒い壁紙を持ち出して、音に合わせて、正方形のパネルに治まるぐらいの音のかたちを切り始めました。
しかし、その音出しは、まだ試し弾きでした。
いいなぁと思っていると、とぎれてしまって、次の楽器を試し引きという感じでした。
で、ぼくのラインもとぎれとぎれ。後は頭の中でくみたてて1つのかたちができました。
そのかたちの中に、サークルカッターでいろんな大きさの丸を切り抜いて、
それらの丸を繋ぐ道も切り抜きました。
そうする内に笛も加わって、音のラインが明確になってきたので、ラインテープを持ち出して、色のライン。
もう色は、忘れちゃいました。
そのラインの上にかぶせるように、先ほどの黒い壁紙を貼り付けました。しかし、
予想されたことではありますが、穴あきのシートを貼っていくのは難しい。
どうしてもしわになってきます。しかたないので、切り込みを入れてごまかす。
ぼく自身は、切り込みを入れて切り抜けるのにはあまり抵抗なくて、すぐにそういう
ごまかしをやってしまいます。

2枚目は、本邦初、丸い白パネルを持ち出しました。
三味線の音も加わってきたので、なんとなくそのイメージを描き進めました。
原田さんの楽器の一部をぼくのテーブルの上や足下にいくつか置いてもらってました。
描くのに飽きたら、少し楽器を鳴らして気分転換するようにという原田さんの心遣いです。
その難ともふしぎな、振り子を閉じこめたような楽器もイメージして描きました。

午後からは、館内放送も流れて本格的にライブが始まりました。
3枚目は、黒い正方形のパネルです。
休み時間に原田さんがやって来て、
「もう少し端から始めて、伸びていくようなイメージがほしい」というリクエスト。
ぼく自身も、前2作が、バランスよく画面の中心にまとまりすぎていたのが
気になっていたところだ。
「じゃあ、次はご希望に添えますよ」
とはりきって描き始めたのだ。

レタスグリーンのカッティングシートで音のイメージを切り抜く。もう一つ、サックスブルーで二つめの音のイメージを切り抜く。
レタスグリーンが左下の出発点。
そのあたりから白のラインテープ1mmで、音に合わせて、手の動くまま。
渦巻きながら進んでいくイメージ、
画面をうねりながら伸び上がり左上で楕円の渦巻き。
上に先ほどのサックスブルーを貼って完成。
かなり一気に描き終えた。
集中度も高く、会場の雰囲気も含めて、かなり気の入った作品となったと思う。

続いて4枚目は、白の正方形のパネル。
原田さんの鉄の楽器は、いろんな響き、うなりがある。
そして、笛の音によくなじむ。さらに三味線。それら全部の音を一枚の絵にしたのがこれだ。

4枚目を描き終えて、約1時間。
もうそろそろ演奏も終わりに近づくかと思ったが、観客も多くて、みんな乗っているのか、終わりそうにない。
ぼくも5枚目のパネルを用意した。
黒の丸パネル。
原田さんの楽器の中には、鉄板に切り込みが入っていて、叩く場所によって音程が違うものがあった。
そのかたちから出発してみようと思って、カッティングシートでいろんなかたちを切り合わせて貼り合わせていった。
その内、ジョイントコンサートは終わったが、ぼくの作品は、まだ半分ぐらい。
見に来てくれた人と少し話しながら一休み。
もう演奏も終わってしまったような雰囲気なので、あわてて残りを描き終えることにした。
やっぱり最後は渦巻きで終わっている。

本当は、もう1枚用意していたのだが、5枚描き終えて急速に疲れが出てきた。
今日はもう終わりにしようと思った。
ところがまた演奏が始まった。
えっ! もう終わりじゃなかったの。いつのまにかギターも加わって最後にもう1曲
ぼくは聴くだけにした。

(この5枚の作品は、会期中、『光のぬくもりを感じて』と共に、1階常設展のエントランスホールに展示されています。どうぞご覧ください。
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コメント

戸田さん、コメントありがとうございます。
 午前中からも描いていたので、30~40分に1枚ぐらいのペースでしょうか。
言われている黒い作品は、特に早くできあがったように覚えています。25分ぐらいでしょうか。
丸パネルは、思ったより時間が掛かっています。ぼくの絵は、元々曲線が多いので、丸いかたちをどのように生かしたらいいのか、いまも不明です。
いっそのこと、次は、球体に描いてはと言われてます。
球体ってどんな素材で作ってもらえばいいんでしょうね。

投稿: 光島 | 2006.08.17 19:22

光島さん、こんにちは。

12日の兵庫県美、行きたかったんですが、どうしてもやってしまわなければならないことがあって、残念ながら諦めました。
アップされてた作品を見て、改めて惜しいことをしたなあと思っています。5枚も描かれたんですね!みんな面白いけれど、中でも黒の正方形のが素敵だなあ!と思ったら、ご自分でもいちばん気に入った作品と書かれてましたね。黒地にレタスグリーンとサックスブルーがよく映えて、そこに光島さんが大好きな渦巻きが、伸びやかで自由な動きを創り出していますね。シートの下に、白いラインが透けて見えるのが面白い!

それにしても、光島さんの集中力ってすごいですね。4枚目で1時間ということですが、5枚すべて描き終わるのに、どのくらいかかったんでしょうか?

投稿: Toda | 2006.08.17 14:41

chibaさん、コメントありがとうございます。
 やっぱり、作品の写真をアップすると反応が違いますね。
どうしても画像を扱うのは独力では難しいのが現状ですが、なるべく写真も載せていきたいと思います。

投稿: 光島 | 2006.08.16 18:26

あめたろうさん、コメントありがとうございます。
 ブログも読ませてもらってますよ。
http://rd.yahoo.co.jp/rss/l/blog/myblog/rss2/item/*http://blogs.yahoo.co.jp/ametarou1212/17275848.html
暑さにも負けず、かなり忙しく走り回ってますね。
12日、間違えておられたんですか。残念です。

投稿: 光島 | 2006.08.16 18:22

はじめてコメントさせていただきます。
作品を拝見しましたが、曲線がとても美しく、
本当にまるで音楽を絵に表現されたように見え、とても心地よく感じました。
私は「文化庁メディア芸術プラザ」の運営をしている者ですが、
現在私どもでは文化庁メディア芸術祭10周年の企画として、
「日本のメディア芸術100選」というアンケートを行っております。
もしご興味がおありでしたら、ぜひご参加ください。よろしくお願致します。

投稿: chiba | 2006.08.16 16:23

こんにちは~、あめたろうこと山本ふです。うちのおっちゃんが日にちを間違えて13日に県美に行きました。残念だったけど、展示物には感激して帰ってきましたよ。暑いおり、光島さんもお体に気をつけてご無理のないように~。私は何回も熱中症になった夏ですよ。

投稿: 山本 ふじ子 | 2006.08.16 15:54

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