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2007.02.04

モックアップってなんだ?

以前、デザインマラソンに参加した話しを書いた。
http://mitsushima.txt-nifty.com/notebook/2006/10/post_685c.html

そのとき、デザイン大賞を取ったチームから、モックアップ(デザイン模型)を作りたいという要望が上がっていた。
ぼくは、モックアップという言葉すら理解していない状態だった。何を作るんだろう!
言葉の響きから玩具みたいなものを作るってことかなぁぐらいに思っていた。

2月2日、たんぽぽの家で久しぶりにそのときのメンバー何人かと会うことになった。
プラス、デザインマラソンの時のユーザーとして参加していた北本晴雄さん(花園大学大学院)と太田啓子さん(大阪市立大学)も参加してくれた。
2人とも車いす使用者で、北本さんは、脳性麻痺。手の力が弱いようだ。
太田さんは、自力で車を運転しているが、指の力が弱く手の平で操作をするらしい。

ぼくを含めて障害者3人と、企業に働くデザイナーが集まって何をするかというと、
どこかで予算が付いたらしく、テレビのリモコンのモックアップを試してみようという集まりだったのだ。

*お願い:当日写真を撮っておられた方、適当なものがあれば提供してください。


Photo_18

手触りは、木製だと思ったが、合成樹脂らしい。
いわゆる、どこにでもあるペタンとして、フォルムの丸い長方形のものと、
やや細身で角張った積み木のようなものと2種類が作られていた。
3人は、この積み木状の角張ったデザインが気に入った。
制作者は、少し意外だったらしいが、デザインが斬新で気に入ったし、残りの2人も手にうまく治まると言っていた。
ぼくは、たんに丸いフォルムに飽きているだけなのだが……。

このリモコンは、3つのパーツの組み合わせでできている。
好みによって、使い勝手によって、パーツを組み替えられるというのがこのデザインの売りだ。
デザイン大賞の時は、見えないとリモコンの操作状態が、確認できないのが一番の問題だと提起していた。

1.オン・オフのスイッチ
まず一番上には、テレビのオン・オフのスイッチがある。
これは、シーソー型のスイッチになっていた。
蛍光灯などのスイッチが壁に取り付けられているスタイルだ。
一方を押し下げると、もう片方が出っ張る。
これだと、オンの状態だということがさわって分かる。

ビジネスホテルなどに泊まったときに、リモコンのスイッチを適当に
(だいたいオン・オフのスイッチは、リモコンの上、赤外線の発信側に付いている)
圧してみるのだが、ボリュームが絞った状態になっていると、ついているのか、
消えているのかがわからないことがある。
テレビが消えた状態でいくらチャンネルボタンを押しても何の変化もないわけで、
ボタンをいろいろ押している内にわけがわからなくなってイライラしてくる。
その内何かの拍子で、プちっというような音がしてどこかのチャンネルが入るのだ。
その放送が、アダルト番組のお試しチャンネルだったりすると最悪だ。
ううん、ニヤニヤしているかも。

このスイッチも、押すところの面積が大きい方が使いやすいという意見が出て、
いろんなかたちが用意されていた中で、円形のものを選んだ。

2.チャンネル

2段目には、チャンネルを切り替えるための回転式のスイッチがあった。
昔ながらのテレビのチャンネルを変える、あのグルグル回すやつだ。
回転部分をかなり小さくして、埋め込んだ感じで、腕時計の文字盤ぐらいになっていた。
回すところには、位置をさわって分かるように浮き出したラインが入っている。
これもチャンネルが時計の文字盤と一致していて確認しやすいと思った。
しかし、これは2人の車いすの人には評判がよくなくて、回しにくいという意見が続出。
指先で動かすには、かなり力がいるのだ。
たしかに小さすぎるし、もっと飛び出していて、ダイヤルという感じの方が操作しやすいだろう。
手の平を使う人には、ジョグダイヤルが便利らしい。
この頃、缶コーヒーでペットボトルのよりも大きな蓋がついていて、捻って開けるタイプのものがあるが、それぐらいの方が動かし安いようだ。
ぼく自身は、そういう不便を感じないが、たしかに動かしにくそうに思える。
このあたりは、ぼくだけで検証していても、けっして発見できないところだ。
今回のお二人は、思ったことをハッキリ発言できる人たちだったので、それぞれの立場からの使い勝手が提案されて、なかなかいい感じで進んだ。

3.音量調整
一番下、手前には、音量調整のスライドスイッチのユニットが配置されていた。
左右に動かしながら、ボリュームを調整するのだ。
もちろん先のチャンネルにもこのスライド式にも、クリック感というのか、
カチカチした引っかかりが必要である。
モックアップの段階で実装するのは無理だが、企画には、反映されるそうだ。

デザインマラソンの時には、見えない立場で使いやすさを精一杯主張した。
しかし、ぼく個人の意見だけでデザインが進むことへの不安もあった。
そういう意味で、今回の集まりは、とても意味があった。
障害の種別や程度によって、使いやすさはかなり違う。
あたりまえのようだけれども、うっかりすると、すべての人に使いやすいものがありそうな幻想に陥るのではないか。
今回も、3人3用の使い勝手が提示された。
相容れないところもあるし、妥協できるところもある。
しかし、無理に妥協するのではなく、ユニットの組み替えでそれらの多用なニーズに
応えてこそ、インクルーシブなデザインと言えるのではないだろうか。
このあたりが、ユニバーサルデザインとの違いなのだろうか。

最後に残るぼくの心配は、これらのモックアップが、最終的なデザインの段階で、
どんな風にかっこいいものになるのだろうかということだ。
使い勝手はいいが、ださいのでは使う気にならない。
障害者用というものの中には、そういうものが多いように思う。
最後の段階での微妙なかたちなどのデザインは、どのように決まっていくのだろう。
ぼくはそのあたりに興味がある。

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コメント

北本さん、コメントありがとうございます。
 連絡しないままブログにお名前を載せてしまいました。申し訳ありません。
北本さんのブログがうまく見つけられませんでした。
アドレス教えてくださいね。
中学でお話しされた記事は見つけましたが。

投稿: 光島 | 2007.02.26 17:00

今晩は、北本です。偶然発見しました。そしたら僕の名前を発見!!めっさテンションあがりました!ありがとうございます。
僕もブログをやってるのでよければ覗いてやってください。

投稿: はる | 2007.02.21 00:54

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