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2008.07.31

一本道

先日、東京に向かうため北大路駅で市バスから地下鉄に乗り換えることがあった。
ぼくにとっては早い8時過ぎのことだ。
ちょっとややこしい北大路駅、いつも点字ブロックを頼りに、それでも慣れた駅なのでかなり早く歩いていると思う。

すると点字ブロックの上で正面衝突。
「すいません すいません」とお互いに声を出したと同時に杖が触れあったような気がした。
何と視覚障害者同士の衝突だ。

慣れているところで、路面が滑らかなところだと、点字ブロックの上を歩くときは、あまり白杖を左右に振るような歩き方をしない。
だれもがそうかどうかは知らないけど、杖を前方に押し出して、スライドさせている。
足裏だけは、しっかり誘導ブロックを捕らえながら、じつに軽快に歩いているものだ。
地下だし、まず自転車などの障害物はないだろう。見えてる人も、白杖を見たら避けてくれるだろうと独り善がりな解釈で歩いているのだ。
しかも、見える人たちに負けないようにかなりのスピードを出してみたりする。

以前にもこのスピードは危険だという経験をしている。
そのときは、杖を左右に振りすぎていたのが原因かもしれない。
地下鉄烏丸駅のホーム上でのことだった。前方からやって来た人の足を引っかけてしまい、倒してしまったのだ。
幸い怪我はなかったようだし、杖も折れなかった。杖など目に入ってない人もいくらでもいるのだと実感した。

杖をスライドさせているということは、杖を突いている音がしないということになる。
だから、お互い杖をスライドさせているとどちらも視覚障害者がやってきたことに気付かない。見えない人同士のごっつんこ!!
たぶん、ライトハウス付近の路上では、よくある風景かも。
しかし、これも誘導ブロックが普及したための弊害とも言える。
その昔は、点字ブロックなどないものだから、みんないろんなスタイルで、杖を振り回したり、ただ持っているだけだったりしながら、道の真ん中を闊歩する人。
端の方を壁に沿ってゆっくり歩く人。さまざまだったように思う。

現在では、たどる道は、広い道の中の誘導ブロックの一本道。
外に出かける視覚障害者が増えるほど衝突の可能性も増える。
世の中で、見えないのは自分だけだと思いこむのは、もう止めなければならない。

またまた昔の話しを持ち出すが、木造の盲学校の校舎では、廊下の中央にかまぼこ形に盛り上がった金属のラインが敷設されていた。
道路の中央分離帯のようなものだ。
そして右側通行が教え込まれていた。
誘導ブロックもその上を歩くのでなく、右側通行を心がけた方がいいのかも。

ここまで書いたら、教訓だ。
一本道はよくない。いろんな道が用意されて手こそ、多用な人間が自由に育つ。

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えのぐで遊ぶ・色で遊ぶ 2 〜海の色の貝殻〜

ビューの創作ワークショップです。
ぼくも最近、色鉛筆を使って塗ることに目覚めたようです。
今年こそ塗る楽しさを体感できるかな。

■お絵かきワークショップ第12弾
『えのぐで遊ぶ・色で遊ぶ2 〜海の色の貝殻〜』
日時: 2008年8月31日(日)
    午後 1時30分〜5時00分

昨年夏、同じテーマで行ったワークショップ。
子どものころに戻って、どろんこ遊びのように「えのぐ遊び」を
しても らいたいと始めました。
誰もが子どものころに戻れる?かは別として、えのぐでなければできな いようなこと。
例えば、足にも手にもえのぐをぬって、ペタペタと色をつけたり、筆で も刷毛でも
スポンジでも、いろいろな道具でびゅんびゅんと色をのばしたり。
特に今回は、全員の方に手・足をえのぐまみれにしてもらう計画です!
こんな時にしかできない「思いきったこと」をやりたいと思う方の参加 をお
待ちしています。

今回の描く題材は「海」と「貝殻」。

夏といえば海!という単純明快さ!
海の色は、場所や時間や見る人によって様々に記憶されます。
見えない人、見える人との対話の中から、それぞれの海の色を広げてください。
また、貝殻は見ていても、触っていても、何とも不思議な美しさを
もっていると思います。
その形に触れながら、自分なりの貝殻の形を表現してもらいたいと思い ます。

講師: 鈴木ともこ
会場: 京都市山科身体障害者福祉会館 1階食堂
    〒607-8086 京都市山科区竹鼻四丁野町34-1
    (TEL 075-591-8821)

行き方:JR・京阪・地下鉄東西線 山科駅より徒歩10分(駐車場あり)
集合場所:1. 直接会場
  2. JR山科駅改札 (1時)
(その他の待ち合わせについては、申し込み時にご相談ください)

参加費:  1,000円
募集人数:
見えない人/見えにくい人: 10名(定員になり次第締め切ります)
サポーター(見える人): 10名

*サポーターさんには、見えない方/見えにくい方とペアになって、
色や形の相談、素材の使い方のお手伝いをしてもらいます。(参加費無料)

申込み/問い合わせ:
ミュージアム・アクセス・ビュー(阿部)まで
お申し込み時に、お名前、連絡先、障害の有無、同伴者の有無をお知らせ下さい。
定員になり次第締め切りますのでお申込みはお早めにどうぞ。
携帯電話 080-5352-7005
(留守電の場合はこちらから連絡します。当日の緊急連絡もこの番号へ)
メールアドレス:
museum_access_view@yahoo.co.jp
(受付後、折り返し確認メールを送ります)

*当日参加のみなさまは、続きをご覧下さい。

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2008.07.30

『治療塔』

ウナギも食べました。モモも食べました。
食べてるだけでは、暑い夏を乗り越えられそうにないので、知的好奇心も満足させないといけないと思い、本を読むことに。

最近、視覚障害者の間で注目されているのは、ビブリオネットだろう。
録音図書のデジタル化が進んだことで、それらのデータがネットで配信されるようになったのだ。
インターネットに繋がったパソコンとビブリオネットの会員登録(9000円)ができていれば、いつでも録音図書を検索して聴くことができる。
しかも、新しく発売される「らくらくホンV」には、このビブリオネットを聴けるアプリも搭載されるとか。いつでも、どこでも携帯を持ち歩いて読書ができるわけだ。
スタートして5年ぐらいになると思うが、タイトル数も10000を越えて、かなり実用的になってきた。

そんなビブリオネットで、昨夜、新着図書を調べていたら、
大江健三郎の『治療塔』というのがピンときた。
大江は、久しぶりだ。しかもSFタッチで書かれたものは始めて読む。
いつもの早聴きで、一気に4時間ぐらいで読み終えた。

1990年に出版されたものが、最近文庫になっているらしい。
少しあらすじを紹介すると、

> 度重なる原発の放射能汚染などで汚れきった地球から
> 「新しい地球」(新しい惑星)へ「選ばれた者」が飛び立った
> 「選ばれた者」たちは「新しい地球」で「治療塔」と呼ばれる不思議な建造物に遭遇する。

> この「治療塔」は、誰がいつ作ったのかまったくわからない。
> しかし、この「治療塔」の中で過ごすと
> 人体に蓄積した疲れは取れ、それどころか若返る効果があるのだ。なんと死人さえ生き返ったという。
> 「新しい地球」の過酷な自然条件で痛めつけられた人々の身体は
> この「治療塔」で再生されることになる。

> 一方、地球の残留者たちは、再建運動として生産のシステムを根本から組み換える。
> あらゆる産業を分割・単純化した大量生産から「器用仕事[プリコラージュ]」へと
> システムを再編する。
> 残留者たちが、生活レベルを計画的に退行させて持ちこたえているところに、
> 10年後、飛び立った「選ばれた者」たちが古い地球に舞い戻ってきた。

> 「新しい地球」の環境は、予想以上に厳しかったのだ。
> そこで、「治療塔」で再生した新しい肉体をもって
> 古い地球に戻り、「残留者」を支配し、古い地球を建て直そうという決断がなされたのだ。

> かくして、肉体改造を成し遂げた新しい人類と残留した古い人類の間でのせめぎ合いが起こり物語はクライマックスに。……。

20年後、この物語を読んで、今のところまだ人類は新しい地球を捜してすぐに飛び立つことはないけれども、
遺伝子組み替えが現実の物になっている今、選ばれた者だけが長生きできたり、肉体改造を成し遂げることもできる日も近いような気がする。
大江の描くような新しいシステムを選ぶか、今の生活水準を落とした古いシステムを
選ぶかというようなハッキリした図式は目の前に現れないけど、
──このハッキリ現れないようにされているところが日本のあいまいさだと思うが──
癌治療や、臓器移植に直面したときには、我々も日々そういう選択をして生きているのではという実感を持つはずだ。

大江さん、この小説でも息子たちを登場させている。
光さんは、おじいさんの音楽家として。
もう何度も、障害を持つ我が子を登場させるやり方にワンパターンなものを感じて、
うんざりしていた時期もあるが、今回は、ここまで繰り返されるとほほえましく感じた。

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2008.07.01

河井寛次郎記念館」を鑑賞しよう!

ミュージアムアクセスビュー 第19回 美術鑑賞ツアー
   〜「河井寛次郎記念館」を鑑賞しよう!〜

■日時: 2008年7月6日(日) 2時受付(終了時刻 5時頃予定)

 今回は大正から昭和にかけて京都を拠点として活動した陶芸家 河井寛次郎が
かつてそこで生活を営み、数々の芸術作品を生み出した旧宅、
「河井寛次郎記念館」を訪れます。
 彼は無名の職人たちが作り出す実用品のなかにこそ、人間生活にとって欠かせない
簡素で健康的な美があることを見出し、柳宗悦や濱田庄司らとともに
「民藝運動」を推進したことでも知られる芸術家です。

 多くの車の行き交う大通りをほんの少しはいったところに建つ記念館は、
外から見るとひっそりとしたたたずまいの普通の町家。でも一歩中へ入ると、
日本各地の民家を参考に、寛次郎自らが設計した建物は木の温かみに溢れ、
日々の生活に素を尊んだ彼の静かな精神を感じさせます。また住居部分を通って
奥に進んで行くと、思いがけないものとの出会いが待っています。
 記念館には陶芸作品のほか木彫、書、彼自身の製作や意匠による家具や調度品、
蒐集品などがさりげなく配置され、まるでいつまでも時間が止まったままの
不思議な空間に迷い込んだような気持ちになることでしょう。
 それらの作品の中には触れるものもありますし、寛次郎デザインの椅子に座ったり
家具に触れることもできますので、触覚による鑑賞もお楽しみ下さい。

 小さなグループに分かれて自由に鑑賞した後は、近くのカフェを貸切り、
手作りケーキとお茶でくつろぎながら語り合い、余韻に浸りたいと思います。
ぜひ、ご参加ください。

■集合場所・時間: 1. 「河井寛次郎記念館」前  2時
 2. 京阪五条駅改札前(改札はひとつです)1時40分

      *その他、別の場所での待合わせ希望の方は、申込み時に
個別にご相談ください。

■参加費用: 1000円(入場料、運営費含む)

■鑑賞後の茶話会参加費用: 650円 (ギャラリーカフェふじひら
 手作りケーキセット)

■募集人数: 見えない人・見えにくい人:10名
見える人:20名 

■当日スケジュール

  2:00〜2:15 受付
  2:15〜2:30 グループ分けなど
  2:30〜3:50 鑑賞
  3:50〜5:00 ギャラリーカフェ ふじひらに移動後、茶話会

■「河井寛次郎記念館」
   〒605−0875 京都市東山区五条坂鐘鋳町569
   電話・ファックス: 075−561−3585
   交通: 京阪電車 「五条」駅より五条坂を東へ徒歩10分 
「六兵衛窯」角から南に50m
        市バス 「馬町」下車徒歩1分 
        (JR京都駅より206番系統、四条河原町より207番系統)

■申し込み. / 問い合わせ
  ・ミュージアム・アクセス・ビュー(阿部)まで
    携帯電話 080-5352-7005
    (留守電の場合はこちらから連絡します。当日の緊急連絡もこ
の番号へ)
  ・メールアドレス 
    museum_access_view@yahoo.co.jp
   ( 受付後、折り返し確認メールを送ります)
※お名前、連絡先、障害の有無、同伴者の有無をお知らせ下さい。
※定員になり次第締め切りますのでお申込みはお早めにどうぞ。

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